愚直に生きる

令和二年三月の伝道板です。

『 愚直に生きる 』

お釈迦さまの弟子の中に、周利槃特(しゅりはんどく)という、もの覚えのすこぶる苦手な人物がいました。

彼は自分の名前すら忘れてしまうため、修行仲間たちは「槃特」と書いた旗を作って、彼の背中に背負わせてやりました。

しかし、旗を背負ったことさえも忘れてしまい、とうとう名前を覚えることはなかったそうです。

そんな彼は自分でも「こんなに愚かではお釈迦さまの弟子にはなれない。」と落ち込んでいました。

するとお釈迦さまは「周利槃特よ、自分の愚かさを知らぬ者こそが本当の愚者なのだよ。」と諭して一本のホウキを与えました。

そして「チリを払わん、垢を除かん」と唱えなさいと教えました。

後にお釈迦さまは大衆を前に「悟りを開くのに多くのことを覚える必要はない。どんな小さなことでも愚直に一筋であればよいのだ。周利槃特はホウキ一本に徹して、ついに悟りを開いたではないか。」と仰いました。

周利槃特の死後、そのお墓の上に名もない草が生えました。

そこで「名」を「荷う(になう)」ことから、この草を茗荷(みょうが)と名付けたのだそうです。

京都の相国寺が運営する般若林という禅の寄宿舎で私は学生時代を過ごしていたのですが、金閣寺を再建された村上慈海長老がよく本山である相国寺に出入りしておられました。

慈海和尚は禅とは何かと問われた時に「わしは禅のことはよく分からんが、掃除の仕方ならよ〜く知っておるぞ。それでよければ教えてあげよう。」と答えたそうです。

禅僧らしい深い境涯であり、今でも時折その慈顔が想い浮かんできます。

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