副住職の本棚

今まで、「柿の種」の名称で、「のどかな日常」とは違う長文での投稿をしておりました。
個人的には、FacebookとInstagram(インスタ)のような分類です。
気楽に読める「のどかな日常」とちょっと長めの「柿の種」。
今後は「副住職の本棚」の中に「柿の種」を含めることにします。

一、「柿の種」はこちら

仏教書以外の本の紹介・仏教関係の本の紹介を上段と下段にそれぞれ分けて、下記にブログ形式で投稿します。

本棚(仏教書以外)

一冊目:サピエンス全史

「サピエンス全史」著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏

読み応えがあって読むのが大変でしたが、面白かった。

30年前、小学校の歴史の教科書で教わったのは、我々人類は猿人(アウストラロピテクス等)から徐々に進化して人類になったと教わった記憶があるんですが、認識が間違っていたようです。

教科書に図解で、猿人からネアンデルタール人やクロマニヨン人、そして現代人へと左から右に徐々に進化していく画を何度も見ましたが、あれは徐々に進化したわけではなくて、現代人であるホモ・サピエンスが他の人類種(ネアンデルタール人等)をすべて絶滅させたという記述にはビックリしました。

人類種はひとつ(勿論、地域によって違いはあれど、大きく分けて一つ)だと思っていたんですが、多くの人類種がいるなかで、ホモ・サピエンスという人類種だけが生き残ったというのが、本の中の一番最初の驚きです。

また、二足歩行が可能になって脳が大きくなったことや火を使うことに長けたことが、力の弱い人類がこの地球上で他の生物を支配できる所以という認識が、実はそこが一番のポイントではなかったというところ。

実は、サピエンスに滅ぼされたネアンデルタール人の方がサピエンスより脳が大きかったという事実。

他のサピエンスに滅ぼされた人類種も火は使っていた点。

 

では、何故、サピエンスが他の人類種を滅ぼせたのか。

それは、『認知革命』(虚構・フィクションを共有する能力)がサピエンスにだけ起きたからだという展開に深く唸りました。

それまでは、基本的に家族や親族しか信用できないため、数十人でしか協力プレーをできなかったのが、認知革命によって虚構を共有する能力によってサピエンスのみが数百人規模で協力プレーをできるようになったということです。それが他の人類種に対する大きな武器となった。

 

そして、「認知革命」によって、この地球上の唯一の人類種になったサピエンスが、現代までに更に2つの革命「農業革命」と「科学革命」を経て、地球の頂点に君臨することになった経緯が綴られています。

さらにこれから数千年先の未来にはサピエンスにとって代わる存在、未来に言及されている歴史書です。

世界中でオバマ元大統領やビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏なども大絶賛の本だそうです。

オススメの一冊です。

三冊目:13歳からのアート思考

面白い!!

自分が中学生の頃に読みたかった本。

〝中学生の頃〟という〝時期〟を限定するなら、自分が自分にオススメするまさにナンバーワンの本です。

 

下記①~⑤のいずれかにひとつでも当てはまる方には是非読まれることをオススメいたします。

①小学校の図画・工作(美術)の授業が好きだった。(但し、その後、美術系には進んでいない)

②中学・高校と年齢を重ねる毎に「美術」の授業をあまり真剣に受けなくなった。(受験に関係無いため)

③美術館へ行って、名画を見ても良さがピンと来ない。

④画自体より解説書を見る時間の方が長い。

⑤目で見たままを画くなら、写真で良いのでは?と思ったことがある。

 

パブロ・ピカソの有名な言葉。

〝すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときにもアーティストのままでいられるかだ〟

 

ピカソの言葉は、感性が無いと思っているあなた。感性を否定されたことがあるあなたも勇気づけます。

 

この本を読んだからといって、突然、画が上手くなるわけでも、なにかを突然創造できるわけでもありません。

 

しかし、アートの自由さ・素晴らしさを再確認し、大人になるにしたがって自分自身の中に蓋をしてしまった「自分の感性」に気づく〝きっかけ〟になる本だと思います。

 

この本における『アート思考』の定義とは。

〝自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえ、自分なりの探求をし続けること〟

 

現代社会の変化の激しさは、誰もが実感しています。

都会と地方でスピードに違いはありますが、都会だとテレワーク推進に舵を切り、オフィスを縮小し、交通費の支給の代わりに自宅オフィスの備品を会社の経費で購入したり、不動産の選択・間取りにも影響を与えています。(テレワーク用の部屋必須等)

 

この変動の激しい現代社会のことをVUCA(ブーカ)といいます。

2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)でこの言葉が出てきてから、近年では一般的な言葉になってきました。

「Volatility=変動」「Uncertainty=不確実」「Complexity=複雑」「Ambiguity=曖昧」な社会においては、〝正解〟がころころ変わる社会です。

変動の少ない社会においては数学的な能力(正解を見つける能力)だけで十分でしたが、これからの社会においてはそれだけではまずいことになると言われています。

つまり、正解がころころ変わる社会においては、その都度「新たな正解」を見つけていくのは、もはや不可能であるし、〝無意味〟でもある。

それぞれの局面で「自分なりの〝正解〟をつくる力」が求められています。

 

この本では、その『アート思考』について示唆を与えてくれます。

気づいて、育てるのは自分次第。

面白い本でした。

二冊目:「走って、悩んで、見つけたこと」

今回は、大迫傑選手の「走って、悩んで、見つけたこと」です。

お正月に開催されている箱根駅伝。

私が修行道場から帰ってきた後、一時期、月に200km以上走っていた時期(マラソンを趣味としていた時期)がありまして、その頃まさにトップランナー達の走りを見たい!!と思って、お正月の箱根駅伝を録画して(生放送は忙しくて見られない)見ていたことがありました。

その頃、早稲田大学のエースとして、箱根駅伝を走っていらっしゃったのが大迫傑選手です。

当時の箱根駅伝で圧倒的な強さを誇っていたのは、駒澤大学や東洋大学。

駒澤大学の村山謙太選手や中村匠吾選手、東洋大学の設楽悠太選手・啓太選手等々、様々な大学のエースが競い合う駅伝に胸を熱くしたものです。

 

そんな怪物クラスの選手達の中でも、大迫選手のことが妙に気になっていました。

一番大きな理由は、第一印象が「求道者」・「修行者」みたいだったことが主な原因だと思います。

 

そんな大迫選手。

大学を卒業された後、どうされるのかなぁと思っていました。

というのも、箱根駅伝を目標にされている学生の方が多い(?)印象で、社会人になってからは実業団に行かれる方も勿論いらっしゃいますが、ビジネスマンになられる方もそれ以上にいらっしゃるからです。

大迫選手は「マラソン」(当初、日清食品その後、ナイキ・オレゴン・プロジェクト)に進まれて、その後、「日本新記録」を出されたと聞いたときには感動したものです。

 

そんな大迫選手が書かれた本。

「走って、悩んで、見つけたこと」。

失礼ですが、最初「悩み?ウソでしょ!?」と思いました。

第一印象の「求道者」・「修行者」のイメージが強すぎて、「悩みとは無縁の人」に見えていたんです。

だからこそ手にとって読んで見ることになったわけですが。

 

〝悩みのほとんどは「走ること」に起因する〟と書かれていて、本当に『生粋のランナー』だなぁと思いました。

走る上で大切なことを6つ受け取らせていただきました。

一番大切な才能は〝継続すること〟

これはかの有名なプロ野球選手も仰っていたと思います。

 

ある高名なお坊さんも物事が上手くいくためには、三つの条件が必要だと仰っています。

「①運 ②鈍 ③根」の三つだ、と。

ここでも自分の力でどうにかできるのは、②番目の鈍=地道な努力しかありません。

 

あらためてそんなことを思い出させていただいた本です。

ランナーの方は是非ご一読ください(^_^)

本棚(仏教関係)

みんな、忙しすぎませんかね?

『みんな、忙しすぎませんかね?ーしんどい時は仏教で考えるー』釈徹宗師×笑い飯 哲夫氏

NHKの『落語でブッダ』等々で有名な釈徹宗師と笑い飯 哲夫氏による対談。

そして一般の方達からの素朴な質問。

例えば、「仕事は楽しい?」「運を考える」「努力は報われる?」等々。

それらの質問にお二方が仏教の観点からそれぞれ答えていくというスタンスがとられています。

異色の組み合わせのようでありながら、笑い飯の哲夫さんも仏教に詳しく更にお笑い芸人さんとしての独特の視点・考え方も良いスパイスとなって、非常に楽しく分かりやすい仏教書であると思います。

 

面白い箇所はいくつもありますが、ひとつ取り上げさせていただきますと。

私自身が常日頃、年配の方や働き盛りの方、若い方とお話をさせていただく中で、疑問に思っていたこと。

年配の方と若い方の間で「近年の働き方」について認識の違い・ギャップがあるのが不思議だったんです。

(注)あくまで一例です。

年配の方は「昔の方がよく働いていた」。若い方「昔と比べて今の方が数倍忙しい」。

 

この認識の違いはどこから来るのだろう?と不思議に思っていましたが、「あぁ、そうかもしれない」と思ったのが。

対談の中で、釈さんが仰った「内在時間の話」

「新幹線等、科学技術の進歩によって時間がいっぱい余るはずなのに、あきらかに昔より忙しい。

それは外部の時間を余らせても、内在の時間が縮んでいたら、感覚的には忙しいし、イライラする。

だから、その内在時間をどう延ばすかが、現代人の課題ではないでしょうか?

そうしないと、ものすごく不寛容な、許せない社会にどんどんなっていく。」

という発言でした。

わかりやすく面白いのでオススメです。